エジプト料理の名前って、本当に不思議なものが多いんです。この記事で紹介する料理も、今の若い世代のエジプト人にはあまり知られていない、忘れられつつある伝統料理のひとつです。
正直なところ、特に若い世代のエジプト人の中でも、「それが料理の名前だと知らない人」が意外と多いことに驚きました。その理由は、その名前がとても珍しいからです。その料理の名前は 「Sadd Elhanak(サッド・エル・ハナク)」。
この名前を直訳すると「口を閉じなさい」「黙れ!」という意味になります。でも安心してください、これは甘いスイーツです。あるときこの料理の名前を口にしたら、「え?それって料理の名前なの?“黙れ”って意味じゃないの?」と言われてしまって、「私ってもしかして石器時代の人間なの…?」と本気で思ったくらいです。
でも、このスイーツが忘れられつつあるのは不思議なことではありません。時代とともに、特に若者を中心にエジプト人の食の好みが大きく変わってきたからです。
このスイーツが「サッド・エル・ハナクSadd Elhanak」と呼ばれる理由は、とにかく少量でお腹いっぱいになるからです。とてもこってりしていて、少し食べただけで「もう何も食べられない…」という状態になります。まるで食欲が抑えられたかのようです。
名前の由来について、「食べると喋りたくなくなるから」と思っている人も多いですが、実際には、食後はあまりの重さで:
・他のものが食べられない
・口を開けて飲み物を飲むのもしんどい
・眠くなって、だるくなる
という状態になることから、「口を閉じる」という意味でこの名前が付いたと言われています。
ちなみにエジプトでは、あまり喋らない人に対して「Enta Wakel Sadd Elhanak?(サッド・エル・ハナク食べたの?)」=「なんでそんなに静かなの?」という冗談を言うこともあります。それくらい、このスイーツはエジプト人の感覚に深く根付いているんです。
最近では、年配世代を中心に、このスイーツをもう一度エジプトの食文化に戻そうという動きもあります。若い世代の好みに合わせて、チョコレートやナッツ、はちみつを加えるなどのアレンジも増えています。
材料は、ギー、小麦粉、砂糖、牛乳、炒りごま。作り方は、小麦粉をギーで濃いきつね色になるまで炒め、砂糖を溶かした牛乳を加えて練り上げ、最後に炒ったごまを混ぜ、ナッツで飾ります。
形もいろいろで、小さなボール状にしたり、そのままお皿に盛ってスプーンで食べたりします。写真のように、盛り付け方もさまざまです。






